二十世紀の退屈男
『二十世紀の退屈男』は、1987年の初演から数えて3回目の再演となります。その度に加筆、書き直しをしてきました。その結果、ややノスタルジックで、センチメンタルな作品に仕上がったのが前回までの姿です。時代が二十世紀末へ向かうという、終わって行くことへの様々な思いを、自分の中で様々が終わって行くという六畳一間に暮らす一人の男の青春残像という物語で表現できればよいと思ったイメージがそうさせたのだと思いますが、二十一世紀になって再演を試みると、ちょっとロマンチックすぎると感じました。このままでは、二十世紀へのノスタルジーに片寄りすぎてします。何か、二十一世紀へつながる退屈感を新しい要素として加えたいと考えました。
 今回、劇構造を組み直し、新しい構造を創ること。六畳一間に届いた謎の手紙の所有者をめぐる物語に、この手紙という二十世紀的アイテム以外の二十一世紀的イメージを取り入れることによって、更なる普遍性を完成させること。この二つを目標に書き直しをしました。
 その結果、二十世紀よりも二十一世紀の方がより退屈で、いつの間にか終わってしまった、失われたコミュニケーション、そこから来る六畳一間の孤独がロマンチックやセンチメンタルを飛び越えて浮かび上がったのは自分でも意外でした。
 何度も再演し、書き直してきた『二十世紀の退屈男』ですが、やっと完成に近付いたことを、今回で実感しています。演劇に完成など無いとするならば、かなり進化した『二十世紀の退屈男』を発表できると確信します。ちょっと、自信アリ・・・?かな。
内藤裕敬
1987年 大阪/扇町ミュージアムスクエア・名古屋/七ツ寺共同スタジオ・東京/タイニイアリス
1992年 大阪/扇町ミュージアムスクエア・名古屋/七ツ寺共同スタジオ・東京/ザ・スズナリ