初演は’86年、梅田。巨大なキャッツシアターの隣に汚いテントを張った。二度目は’91年、京橋。猫間川を隣にみるアパッチ族の本拠地で、幻の作家・開高健を探し行く旅を描いた。ちょっと立派になった特設テントは、小劇場がブームと呼ばれた泡沫な時代の危機感だった。さて、三度目の『日本三文オペラ』である。関西の劇場が閉鎖される中で、俺たちは、演劇活動がやれなくなっているのか。否。なきゃ、ねーで、やれるんだぞ。『日本三文オペラ』は、終戦直前の大爆撃で焼け野原になった大阪の旧陸軍工蔽(現・大阪城周辺)へ、大砲や戦車、鉄骨の残骸をかっぱらいに集まってきた泥棒集団・アパッチ族の話。兄さんならできるこっちゃ!・・・ある日、ジャンジャン横丁で女にシゴトを紹介された主人公・フクスケは、アパッチ部落にて腹を減らしたギリギリの人間たちの有象無象、その生きる力、ゼロからの馬鹿力に出逢っていく。この状況は、ある意味、劇場をなくした関西の演劇状況にシンクロする訳で。今こそ、関西で20年以上も劇団活動を続けてきた南河内万歳一座は旗をふりあげる。俺たちは、もともと、何もないとこから始めたんだ。キャストは、関西の若手演劇人。小劇場ブームを知らない、多くの若い劇団が名乗りをあげた。奴らといっしょくたにゼロからの馬鹿力をご覧に入れたい。金もない。予想もつかない。しかし、だ。そういう目に見えないたくさんの何かをカクトクする行為を、俺たちは、演劇と呼ぶんじゃなかったか?

2004年、春。内藤裕敬。