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びっくり仰天街

 彼は裸足で逃げ出したという。果たして裸足で逃げ出さねばならぬ出来事の中に居た経験を私達はしたことがあるだろうか。いや、裸足で街を歩いたことすらほとんど無い。逃げ出したという現実よりも、裸足が直面する地面の痛み、冷たさ、熱さ、乾き、湿り気、足の裏にある別世界の方が実感であったのではなかろうか。

 足の裏同様、彼は別世界への逃げ込んだこれまでからの逃亡は、一からのやり直し、出直し、初対面の人々、街・店・時間・生活だ。しかし、すぐ後ろから、あれや、それ、やり直せやしない過去が追って来る。気づくと隣について回る。いつしか顔も名前も変わり、ふと目を上げれば自分の逃げ込んだのは、もう入口も出口もわからぬびっくり仰天街なのだ。

 南港フェリーターミナルで座っていた彼の犯行を理解することはできない。しかし、どうしても逃げ出したいそこ。何が何でも遠ざかりたいそこ。そうして、いくらやり直そうとしても振り払えないそこ。気がつけば、ちっとも遠くへ来ていない、むしろ近づいてしまっている。そんな逃亡の堂々巡りを私達も抱えている。そのトラウマ・ジレンマをトンマでマヌケに遊んでみようと思う。逃げ込んだびっくり仰天街で。ああでもない、こうでもない、それもあって、これもある、そんな堂々巡りの現代と私達を遊べるかも知れない。

内藤裕敬